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失われたカルタゴを探しに 2

次に向かったのは「トフェ」と呼ばれる、カルタゴ時代の聖域でした。
ローマ以前のカルタゴの面影を残す、数少ない遺跡だそうな。
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かつて祭られていたのは二人の神様。
一人は「墓場と火」の神様と言われる、バール・ハモン神で。
もう一人は「天と豊穣」の女神様、タニト神。



街が焼かれて、跡形もなく埋められた上、ローマの街が建てられ、その存在自体を抹殺されたカルタゴは、もちろん、その文献もすべて破壊されてしまったのでした。
よって、今ある手がかりはローマやギリシャ時代の文献なのだそうですが。

それによると、「トフェ」でカルタゴの人々は、繁栄と勝利を祈って、神への生贄に幼児を捧げていたのだと。
ここから炭化した幼児の骨が多く見つかったのは確からしい。

でもね、征服民族が先住民族の嘘の悪い伝説を残すなんて、とてもよくあることじゃない?
日本の鬼や化け物だって、そうやって生まれたものだと言われるし。

事実、幼児死亡率の高かった当時、幼くして死んだ子供の供養の火葬と聖地埋葬だったのではという説もあって。
カルタゴについて残されたものがあまりに少なくて、その先を探ることはできないらしい。
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これはタニト神の像。


今あるカルタゴの街の中で、カルタゴ時代の物が残っていたのは、ビュルサの丘と、ここ、トフェのたった二つ。
本当に、ローマが躍起になって葬り去ったのだね。
残った聖域も荒れ果てて、神様ももういなさそう。
ここまで破壊された国を痛ましく思いつつ、トフェを眺めていたら。

パパとくうまが洞穴を見つけて。
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奥に消えていった。

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暗い洞窟の中では、一箇所だけ太陽が光を落としていました。
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その、ちょうど照らされた所に、いくつか崩れた遺跡。
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ああ、カルタゴの天と豊穣の女神タニトだと、心臓がドキドキ。
優雅で美しい姿に見入ってしまいました。
ひっそり、何千年もここに隠れておられたんだなぁと思ったら、なんだかうれしくて。


いっぱい頭を下げて、お別れを言って。
そして、ここを後にしたのでした。


by tabikuma | 2007-09-10 09:52 | 07年船旅(Italia,Tunes)

blog「くーまくーま。」より旅だけをまとめたものです。


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