ルイスとの出会い。

友達というのは不思議なものだと思う。
努力してできるものでもないし。
一年二年できないときは、とんとできない。
でも、会った瞬間に友達になることもあるんですよね。

ポルトガル人のルイスは、シネスの港で、お隣の船の住人でした。
実際は、最初に留めていたところに来て(NZ艇の隣の場所)、「ここは波が入ってきて、
以前船も桟橋も壊れたことがある。
今夜は波が入ってくるからもっと港の中に留めさせてもらった方がいいよ」と忠告してくれて。
移動することになった場所を、「あそこなんて留めにくいのは良くない。ここにしろ」とマリーナの人に文句を言ってくれ。結局彼の船の隣に留めることになったので、もしかしたら彼が私達と友達になりたがってくれたのかなと思ったりして。

夜に顔があったら、こっちで酒盛りしないか?と呼ばれ。

翌朝目が覚めたら、ニコニコ顔でやってきて、俺は車を持っているから、市場まで案内してあげるよと誘ってくれて。

そんなだから、だんだん申し訳なくなってきて、じゃあお昼ご飯をうちの船に招待しようということになった。

そしたら、くうまがすっかりルイスに懐いて隣の船とKUMA号を行き来し始めて。
気が付いたら、ちゃっかり夕食を一緒に食べて帰ってきて。

翌朝は目覚めと共にくうまはもう隣の船にいりびたって。

申し訳ないから、ケーキ屋でお菓子を買って差し入れしたら。

またむこうの船に招待されて・・・。
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こんな感じでなんだか四六時中一緒にいることになって、すっかり仲良くなったのでした(笑)
ポルトガル人ってこんなに人懐っこいのだろうか。
アンダルシアの人間は、最初だけ愛想がよくて、次に会ったときは知らん顔ってことが多いので、こういう仲の深まり方に面食らいながらも嬉しかったです。
気が付くとルイスは、たった5日間のシネス生活だったのに、とても大きな存在になってました。

ルイスはリスボンの中学で技術の先生をしているそうな。
相当の変わり者みたいだったけど、きっといい先生なのだろうなと思う一件がありました。

このシネスの港で、ルイスの船に行こうとして、くうまが桟橋から落っこちたのです。
ばっしゃーーーーーん。
落っこちるのは、初めてだったくうま。
それはそれはパニクって、泳ぎを忘れて溺れそうになってました。
音を聞いた瞬間、くうまが落ちたと悟った私は、焦って走ったのですが、着いた瞬間今度はルイスが落ちたのを見て呆然。
どっぽーーん。
ルイスまで足を滑らせたと思ったので。

でもね、ぷかーって浮いて「おっ。気持ちいいなぁ」ってスイスイ泳ぎはじめたの。
「くうま、ほーらほーら。泳いでごらんよ、気持ちいいよー。落ちて得したな」って、
そしてくうまを抱き寄せたんです。
すると恐さのあまり息するのも忘れていそうだったくうまが、突然笑い出して。
「落ちて得したな」って一緒に泳ぎだしたんです(笑)
あんなにジタバタしてたのに、「あ、そっか泳げばいいんだ」って思いだしたのだろうな。

くうまがすっかり遊び始めたのを見届けてから、「おーー寒い。そろそろ上がろうぜ、くうま」って二人で桟橋に上がってきたのでした。

私はただただ呆然・・・。
そしてすっかりいつものくうまに戻ってるのを見て、ルイスがわざと落ちてみせたことに
気が付きました。
子供が落ちた瞬間に、すぐに引き上げようと思うしかなかった私。
でもね、パニクる子を、大人達も慌てて引き上げて「恐いことだった」雰囲気にすると、
くうまは落ちた恐怖感をしばらく拭えないか、水が恐くなる等のトラウマになりかねず、
また落ちた時もやっぱりパニクる様な気がするのです。
冷静になれば港で落ちることなんて、プールで泳ぐのと何ら変わりないことに気が付くはずなのに、落ちた驚きと恐怖から泳げなくなる。

それがルイスは、とっさに落ちてみせたんですよね。
そして落ちたら泳げばいいだけのことだと、お手本を示してくれたわけです。
正気に戻し、泳がせて、自分で桟橋を登らせて。
服のままだったし、他人の子だし、なにより落ちてみせるって発想がすごいですよね?
でも、ルイスのおかげでくうまはトラウマをまったく持たないで済んだことに気が付きました。
「落ちちゃった。今度は気を付けるね」って。
失敗を恐れないように、でも正しい道を教えるって、難しい。
だから、本当にこの人はすごいと思いましたですよ。

学校でもこんな教え方をしてくれる先生なんだろうなって思ったら、いい先生だろうなぁってね。
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彼に会いに、今度は車でリスボンへ行く日がありそうな気がします。
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by tabikuma | 2006-09-13 22:10 | 06年 ヨットの旅(portugal)

blog「くーまくーま。」より旅だけをまとめたものです。


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