大荒れのカステル・サルドと、その先。

出航した時は、サルデーニャ島北部とコルシカ島の間を抜けてスペイン側へむかう予定でした。

が、夕方には予報と違い、風が真正面から吹いてきたので、逆風で苦しみながら進むことに。
行き先をサルデーニャ島南部に変更すれば、進路を風に対して45度動かせて帆で進めます。
今の目的地より距離的には長くなるけれど、風が押してくれる分スピードが出せるので、結果的に速く到着できるだろう。
行き先変更です。
至上目的は、一刻も早くサルデーニャ島を越えた先にあるスペイン領バレアレス諸島に着くことなので、この際サルデーニャ島のどこを経由するかは拘らないってことで。

一晩中南を目指して船を進めました。


その翌朝のこと。
・・・風が変わっちゃいました。南西からに(涙)
今のルートでは真正面の風。
つまり逆風です。
風が抵抗になって船は進まなくなってしまいました(とほほ)

どうするよ・・・。
また船長と副船長でミーティングです。
うーん。。。

とりあえず、今の1ノットのスピードでこのまま南を目指すと何時間で着くか、GPSに計算させました。
・・・36時間かぁ(遠いなあ 涙)
今度は、昨日目指していた北部まで何時間か計算させてみました。
・・・30時間(おっ!)


こりゃもう、進路変更でしょうっ(爆)
もーね、節操ないって言われてもいい!(苦笑)
いきなりまたサルデーニャ島北部を目指して45度軌道修正。
風次第ってのは厄介ですが、道がないってのは便利なもんで(笑)


そしてまた、ひたすら走り続けて翌夕方、アンカーリングポイントに到着しました。
サルデーニャ島北部にあるマッダレーナ諸島と言えば、美しいトルコブルーの海で有名なのですが。
夕方なので、もう海の色がわからないっす(涙)
翌朝出航予定は5時半起床6時出航だし。三日間走り続けたんでへとへとです。
とにかくご飯食べて寝るだけの停泊でした。


さて本日もかなり足早な計画です。
サルデーニャ島を駆け抜けて島西部のマリーナまで一気に行って、そこでスペインまで行ける良い風を待とうという算段。
朝から後ろからの追い風に順風満帆。
幸先いいんでない?


・・・と喜んでいたのも束の間で。
刻一刻と風が上がってき、波が尖り始めて私達の視点より高くなりはじめました。
こうなっては、オートパイロットははずれまくりです。
パパが舵をとって、うまく波に乗せてKUMA号をサーフィンさせて進みます。
追い風とはいえ、スピードが8ノットを超え始めるとかなり怖い。
帆を縮めてもスピードは上がる一方(汗)

確実に逃げ込めるマリーナを早めに見つけないと、この風じゃたくさんの船が避難するからすぐ場所がなくなって行き場を失うことになる。
今一番近くにあるカステル・サルドに逃げ込むことにしました。
二年前もこんな風の中、カステル・サルドに逃げ込んだのを思い出します。
ここら辺はいつもいつもこんな風なんだろうか。
たまたま二回とも運が悪いのか。

KUMA号と共に立て続けに8艇のヨットが港に飛び込み、予約のない船は全部断られて、絶望しましたが。
「こんな風と波の中、放り出すの?」と聞いたら、今日はお休みのガソリン埠頭に縛り付けて凌げ!って。
つまり、電気と水の供給はなしの緊急避難用スペースです。
でも、強風が吹き荒れてるせいで風力発電は快調、水タンクの水はまだあるので、考えようによれば高い停泊料を取られずにタダで波を凌げて、安全に寝られるんだから、お得かも(うしし)

とにかく天候の情報をチェックしたいので、村中を聞きまわってネットできるところを探しました。
2時間探し回ってやっと、ゲームセンターの隅に最近パソコンが一台置いてあるって情報を入手。
やっとのことで、今なにがどうなって、この風が吹いているのか、気象を覗くことができました。

局地的突発風だとわかりました。
明日にはやや治まることも。
サルデーニャ島北から西部に出る為に通過する、フォルネリ回廊と呼ばれる短い海峡は、深さ3~4m。
波が高いと谷になる部分は2mを切ることもあって、船は座礁するから通れません。
東からの強風、西からの強風では通れないのですが、明日は北からの風だとわかりました。
フォルネリは通過できることを確認っ。

次は通過した後です。
サルデーニャ島とスペイン領バレアレス諸島最初に目指す島メノルカ島の間の気象と波の状況は、あまり穏やかではないと出ていました。
追い風の強風。
逆風ではないので、揺れを我慢して、夜も徹夜を覚悟で見張りにたてば渡れるくらい。

明日を回避して西部のマリーナに入れて風待ちをすると、次に海が穏やかになるのは1週間後と予報に出ていました。
つまり、明日から徐々に風が上がってきて3日後にフランスから吹き降ろすミストラルが来る。
2日間は吹き荒れ、その後海が穏やかになるのに2日はかかる・・・という感じでした。

気象情報は3時間ごとの風と波の動きがわかります。
とはいえ、100%当たるわけではないので、1日誤差を考えて進路を読まなければいけません。
夕方自分達がいる場所に見当をつけて、周囲の風の状況を考えます。
夜中は?翌朝は?
予報から想定すれば、うまくKUMA号は強風地帯を回避しながら進めそうに見えました。
明日もしスペインに向けて出航したとして、ミストラルが一日早まったとしても、メノルカ島の南に入るので北風は陸に遮られて回避できる確立は高い。

データーの取り込みも、プリントアウトもできない村のパソコン。
紙に一生懸命書き写して、もう少し考えることにしました。
明日出航しなければ、1週間後。
けれど、予報は遠いほど外れる確率も高くなるので、1週間後に出航出来る保障はなしです。
どうする?


パパは「無理だ」と決断しました。
私は「決行」を主張しました。

パパの「無理だ」と言う理由が私には理解できなくて。
長い長い話し合いです。
お互いの不安要素を指摘しあって、論破もしくは回避案を考えながら分のある方を模索します。

最後の長いトラベシア(横断)だから、パパは慎重になっていました。
とはいえ、逆風でもなければ、ミストラル突入でもなく、順風強風波高しってコンディションです。
そりゃあ、船はぐらぐら揺れるだろうし、のんびり楽しい道中にならないのは確か。
料理もできないだろうし、強風で帆走だから二人とも徹夜覚悟だろしね。
でも、だからどうした?であるよ。
ポルトガルのサン・ビセンテ岬の無謀な航海や、シチリアのシロッコ、ギリシャでのメルテミの中をそれなりにかいくぐって来たのに比べれば。
「波と風が少し強い」なんて、リスクは高い方じゃない。
ちょっと辛いだけです。
2日間泣きながら頑張ればいいだけのこと。
それでスペインに着くなら、一週間後いつ来るか保証のない「ゆるい風波のない海面」を待ち続けるより得策でしょ?

今までのパパなら、たぶん行く風なのです。
メッシーナ海峡を抜けて以来、エンジンは壊れるは逆風逆潮流ばかりだし、疲れているのか少し弱気になっているのがわかりました。
普段の船長の決定には従う私ですが、船長が腰引けてる時は副船長が頑張らんとね。
だって、究極の選択なら明日は行くべきなんですってば。

ってことで主張し続けて、とにかく出航を決めました。


翌朝6時は、風が治まっていました。
でも10時には風が上がってくる予報です。
8時にガソリン埠頭が開き、8時半にスーパーが開くので、スペインまでトラベシア出来るように手分けして買出しします。
目標は9時出航。
これを越えればスペインだ、頑張ろうぜ!
かなり覚悟決めての出航なので、朝からアドレナリン出まくりです(鼻息)



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by tabikuma | 2009-11-27 11:26 | 09年 船旅(最後のクルーズ)

blog「くーまくーま。」より旅だけをまとめたものです。


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