77時間航海。

カラマタのマリーナに滞在し吉日を待って5日目。
8月1日に、KUMA号はギリシャを後にしてイタリアを目指して出航しました。
ペロポネソス半島からの、5ノットで進む計算だと66時間かかるトリップは、
一日目に軽い逆風と逆潮流で、4.5ノットがやっと出る感じ。やや苦戦。
二日目は波も風も無く、エンジンを使ってまったりと5ノットで移動です。
やや予定時間より遅れ気味だけれど順調かと思われた航海の三日目は・・・。
風がかなりある一日でした。しかも逆風。

とはいえ。
逆風でも、まったくの向かい風はお手上げだけれど、角度がややずれていれば、案外うまく利用して帆走できるってのが、セーリングの面白いところです。
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水平線を見てもらうと、ヨットがどれだけ傾いてるかわかりますか?
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斜めになって過ごす日は、料理なんかまともに作れないのでラーメンやおにぎりとなります。
宿題をみたり、本を読む気が起きないので、こんな日は海ばかり見て過ごします。

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でも、14時間を6ノット近いスピードでシラクーサまで一直線に帆走できたのは、なかなか船乗り冥利に尽きるものがあって、今までの遅れを取り戻したかなとほくそ笑んでました。

これが。
夕方になるにつれ、風の勢いが増し、波が大きくなってきたので冷汗です。
視界の良い昼間なら、少々荒波でも強気になれますが、見えない中ライトだけを頼りに進む夜間航海で、しかも交代に寝るから一人で見張りと帆の操作をするのに、荒波と強風なのはかなり辛い。
新月なんかだとまったくの闇の中で、ヘッドライトでわずかに見える波がどんどん船より高くとがってくるのが、どうにも恐ろしいのです。
しっかり掴まっていないと船から転がり落ちそうになるのも、落ち着けなくて怖い。
今夜はきつそうで嫌だなぁ・・・(涙)

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早番のパパに船を任せて、くうまと遅番の私は早々に横になりました。
ふと目が覚めると、波で持ち上げられ叩きつけられる船の上下運動で、船室は洗濯機の中みたい。
横になってからまだ1時間しか経ってない。
遅番が辛くなるから、なんとか寝ておかないとっ!と努力するんだけど、ベッドに寝てると、空中に身体が浮いて、一瞬無為重力になってから、落ちるを繰り返すので寝てられたもんじゃない。
・・・って、横で寝てるくうまは、無意識に蜘蛛のようなポーズで壁とベッドに手足を密着させ体を支えたまま、爆睡してるんだけど(スゴいっ)

これほど酷いって外はどうなってるんだろうと気になって、様子を見に出ました。
デッキでは、海へはじき出されないようハーネスで身を繋ぎ、ここまで波がひどいとオートパイロットが使えないのでヘルムを握りっぱなしのパパがいた。
「波も風もどんどん上がってきてる。やばいよこれ。」
完全に前からの逆風になったため、帆をたたみエンジンで走っていたけれど、前から来る波が大波になり船の舳先が叩かれてスピードは削がれ、2.5ノット(だいたい時速5キロです。歩いてるくらい 涙)しか出ない状態に、パパも泣きそうであった。

ほんとにひどい夜でした。
私一人で見張りできる限界を超えてるので、パパが徹夜で舵をとらねばならず。
気を許すと船から転がり落ちそうになるから、疲れてても気を張り続けなきゃいけない。
この相棒にできることなんて、バカ話で気を紛らわすことくらいなんだけど、一人で踏ん張るより誰かが傍にいる方がうれしいだろうと、私も船長の徹夜に付き合うことに。
翌朝にはシラクーサでゆっくり寝られるはずだから、二人で徹夜しても問題なかろう。
(これが、まだトリップが続く場合、二人で徹夜すると翌日使える人間がいなくなるから、私は寝るべきなんですが)

辺りが白みはじめ、ものが見えるようになってくると、不安な気持ちも治まった。
その頃には波の頭も丸くなってきて、少しは状況が良くなってきたような。

それでも、逆風はなかなか弱まらず。
シチリアの島影が見え始めてもなおビュービュー吹いて、来るな!と言われてるみたい(涙)

出航して四日目の朝。
最後の最後まで逆風に泣かされ、予定より11時間遅れ、へとへとでたどり着いたシラクーサ。
あと30分!という、ゴール直前にイルカの大群が遊びに来てくれました。
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ほどなくして風も緩み、イルカ君たちがシラクーサからお出迎えしてくれた気分っ(感涙)
辛い辛い最後の道のりに寝不足と疲労で朦朧としていた私たちの気分が、ぱーっと明るくなりました。



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by tabikuma | 2009-10-05 01:59 | 09年 船旅(最後のクルーズ)

blog「くーまくーま。」より旅だけをまとめたものです。


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