ムジナか狸に化かされたような宿・長野へ(2016年の夏休み) 5 

夕ごはんに、私は鯉を初めて食べました。
鯉の洗い、鯉の飴煮、味噌で煮る鯉こく。
佐久が鯉の有名な所なのだとか。
でも、旬は脂の乗る冬なのだって。
確かに、洗いは・・・んーーっ・・・?て感じw鯉こくが一番好きかな。

ようやく宿についたのは8時過ぎでした。
くらーい夜道、人気のない村。
お盆休み初日でどこも宿が取りにくい中、くまたろうさんに「穴場」と教えられたので、
さもありなん。

大きな旅館のわりに、玄関からぽーっと明かりが漏れるだけで、ひっそりなの。

「こんばんわ~!」
って入ったら、お客さんかと最初思っちゃった、Tシャツ普段着の若いお兄ちゃんが1人いて、
あ、ちょっと待って下さいって消えてしまってから、
もう一度出てきて宿帳書いてって。

宿帳って昨今は、名前と電話番号と宿泊日程くらいでいいですよって言われるのに、
「住所電話番号に年齢も職業も全部記入してください」って超個人情報も書かされるから(汗)

なんか変な旅館だなー。
にーちゃん以外誰もいないしなー等と思う。

おもむろに「お部屋を案内します」って連れて行かれ、
すごい急角度の階段があって、脇に「お客様がお泊りなので見学はご遠慮願います」って立て看板を見つつ
えっほえっほと階段をあがると・・・そこは、
あれ?この離れってお客さん一組しか泊まれないよ??

しかも二間続きの広い部屋。

アンティークなしつらえに、重厚感ある柱や天井。

ぐるりと全方向にある窓、四方に渡された廊下・・・なんかに見える(汗)
「はい。当旅館で一番いい部屋です」
さらりと言って、お兄ちゃんが去っていってしまったのでした。

・・・なんでなんで?ここで一番安い払いの素泊まりなのに。
いいのいいの?

もう一度階段下の立て看板を見に行ってしまいましたよ~っ(汗)
あー!!「藤村の間」って書いてあるー!(驚)
なんか狐に化かされてるんじゃないかとドキドキっ。

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あ、やっぱりちゃんと「藤村の間」って書いてある。
そういえば島崎藤村ゆかりの宿ってふれ込みだったような・・・。

でも、そのわりにはなんか字が汚いような気がw
キツネが書いたのかもしれん。
明日には野っ原で私達目が覚めるかもしれん(不安)

でもとりあえず、
すっごく気持ちのいいお部屋、居心地の良い「古き好き日本のしつらえ」。
「俺、ここ好き!こういうとこ大好きっ!」と、くーま。
私もだよ~でも高くて普通は泊まれないような部屋だもん~。
みんなそれぞれに感嘆をあげてしまいましたよー。


ここね、「卓球温泉」って映画のロケ地でもあるらしくって、
古くからのピンポンルームもとても有名なのですって。

なんだかちょっと不思議な旅館w
温泉行きがてら探検に行こう!
卓球は夜の10時までにお願いしますってことだから、
卓球も早くやりに行かなきゃっ!!

って廊下を上がたり下がったり、増設増設らしくってほとんど
「千と千尋の神隠し」の湯屋か!?ってくらい大きくて複雑で迷路のよう。
でも人っ子1人とも出会わないの。

予約した時「満室」だったから素泊まりにしたのに。
8時とか9時って宴会やってたり、中居さんが忙しく走り回ってないんだろうか?
卓球が大人気でできなかったらどうしようって心配もどこ吹く風で、
誰もいない・・・(汗)
ひとしきり卓球やりましたが、我が家の貸し切りw

お風呂に~って行ってみたけど、
やっぱり男湯も女湯も貸し切りだったのーこわい(冷汗)

お兄ちゃんとももう会うことなく、
だーれにも会うことなく。
下駄箱に靴は一応少しだけあったけど、満室じゃない数。


・・・・・・・・・ま、いっか♡
普段泊まれないところを楽しめるんだから、化かされてたとしてもラッキーよね♪


ってことで、大いに羽を伸ばして、ぐっすり熟睡して。





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おお~、よい眺め。
猛暑なのにここは涼しくて爽やかっ♪

暗くてわからなかった所も陽が差してくるとさらに格好いいお部屋!!(うっとり)

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例えが悪いかもだけど、時代ものにでてくる花魁の部屋のようだわ。
むこうに見える手すりとかの感じとか。


思わず寝てるくーまを残して散策に♡
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おお~古いっ!

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上に行くか下に行くか~迷路みたいでしょ?
この看板もいい感じ♪


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黒光りしてますっ!

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ほら、本館からこんな風に長ーい中空の廊下が渡されてるの。

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これが卓球室ですっ♪
広いっ!
帰ったら映画見てみようっと。
温泉の卓球ブームの火付け役になった映画らしいですよーw

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温泉はぬる湯でのんびり入れてよい感じでしたよー。

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私達の泊まったお部屋はね、この三棟の一番奥の一番ちっさい「離れ」です。
ここに一組貸し切りだったの!!
改めて写真を見るとさらに驚くっ(興奮)

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テラスに出て外から眺めるとまたタコ足のように増設されてる繋ぎが見られて面白い♪

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「藤村の間」を外から見るとまた格好いいっ!!

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改めて、お部屋も。
ああ、こんな終の棲み家がいいなーーーーーーー♡

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障子の文化、優しい明るさ。
この歳になって見直してます。

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とても古い食器棚。

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ぐるりと囲んでる廊下はこんな感じ。
冬はお部屋が暖かそう。

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粋なすだれを通して、風がそよそよ。
気分良しです。

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ようやく起きた人。
とりあえず、朝起きてもお部屋の中でよかったね(笑)
でも結局朝も誰にも会ってないんだよー。
朝ごはんの用意とか、音すらしないの(汗)

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いやいや、無事かどうかはまだ宿を出るまではわからないか。
ほら、「シャイニング」の終わり方みたいに、この写真の中を探すと私達が・・・って(書いてて怖っ!)


お宿のお代は、ネットで振込されて「予約完了」ってシステムだったので、
結局出る時もお宿の人を見ることなく。

「失礼します~」って声かけたけど、誰も出てこず。。。
下駄箱にはもう、私達以外靴はほとんど残ってなかったし。



ん~なんだったんだろう??
お盆に見た幻のような体験でした。
未だにわからないんですが、とりあえず楽しいお宿でしたw


-後日談-

それは間違いなく「迷い家(まよいが)」よ!
と言われました。
それはなんだろうと調べてみたら、柳田国男の「遠野物語」にあるこんな話。

小国の三浦某と云ふは村一の金持なり。
今より二三代目の主人、まだ家は貧しくして、妻は少しく魯鈍なりき。
この妻ある日門(カド)の前を流るゝ小さき川に沿ひて蕗を採りに入りしに、よき物少なければ次第に谷奥深く登りたり。
さてふと見れば立派なる黒き門(モン)の家あり。
訝しけれど門の中に入りて見るに、大なる庭にて紅白の花一面に咲き鷄多く遊べり。
其庭を裏の方へ廻れば、牛小屋ありて牛多く居り、馬舎ありて馬多く居れども、一向に人は居らず。
終に玄関より上がりたるに、その次の間には朱と黒との膳椀あまた取出したり。
奥の坐敷には火鉢ありて鉄瓶の湯のたぎれるを見たり。
されども終に人影は無ければ、もしは山男の家では無いかと急に恐ろしくなり、駆け出して家に帰りたり。
此事を人に語れども実と思う者も無かりしが、又或日我家のカドに出でゝ物を洗ひてありしに、川上より赤き椀一つ流れて来たり。
あまり美しければ拾ひ上げたれど、之を食器に用ゐたらば汚しと人に叱られんかと思ひ、ケセネギツの中に起きてケセネを量る器と為したり。
然るに此器にて量り始めてより、いつ迄経ちてもケセネ尽きず。
家の者も之を怪しみて女に問ひたるとき、始めて川より拾ひ上げし由をば語りぬ。
此家はこれより幸運に向ひ、終に今の三浦家と成れり。
遠野にては山中の不思議なる家をマヨヒガと云ふ。
マヨヒガに行き当りたる者は、必ず其家の内の什器家畜何にてもあれ持ち出でゝ来べきものなり。
其人に授けんが為にかゝる家をば見する也。
女が無慾にて何物をも盗み来ざりしが故に、この椀自ら流れて来たりしなるべしと云へり。

あー知っていれば、何か一つあの旅館から持ちだしたのにぃぃぃ!
大それたものは窃盗になるから、せめてピンポン球の一つくらい・・・と悔いましたが、
そういえば図らずして持ちだしたものを思い出しました。
「温泉タオル」!!
1人一枚ずつくれたので、宿が印象的だったから大事に3枚とも持ち帰ってきましたよ~♡

どうなるどうなる?
女はお椀を手に入れたおかげで、一生食うに困らなかったとのことだから、
持ちだしたものに感して、苦労しないってことでしょうか。
温泉タオル・・・一生顔洗うことには苦労しない?うーむ・・・
まあピンポン球だと、一生卓球に困らないとか・・・よりは・・・(爆)


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Commented by koguma at 2016-08-30 19:37 x
素敵な旅してきたんですね~。長野、凄く良いところですね!山と緑と文化があって魅力的!行きたくなっちゃって色々検索しちゃった。
この旅館の話も不思議・・・。(こういう旅館を聞くと夏目漱石の「明暗」を思い出しちゃう。)
私ね、africaさんの文章が好きで読み物として読んでいたんだなあと今回気づかされました。
Africaさんの目から見た風景や体験をafricaさんが文章として起こす。
今回なんて、「狐にばかされた?明日は野原で寝てたりして」なんてすごく面白い表現。一緒に旅しているような気分でした。
africaさんからみた、くうま君、旅、文化、それを文章で表現しているのが凄く好きなんだなあと思いました。
facebookやインスタグラムは簡単で楽しいからぜひafricaさんにも楽しんで欲しいですが、やはりこんな風にブログもたまに更新してほしいな。という読者の我が儘な独り言でした(´艸`*)
Commented by 小梅 at 2016-08-30 20:40 x
夏休みの登校日からこちらにお伺いしました^ ^すーごく素敵な旅館ですね♡♡♡読んでてワクワクしましたよー誰にも会わないなんて信じられないし不気味だけどワクワク♡長野も素敵な所ですねー♡♡一人旅したいと長野を色々調べていた所だったので色々勉強になりました。
Commented by vinge at 2016-08-30 22:02
温泉タオル!!! 
あははははー。あーおなか痛い。(笑)
きっと欲のないAfricaさんに、ピンポン玉が流れてくるから見落さないで!!あ、 スリッパかもしれない!(一生旅に困らないとか)

何はともあれ、ご無事で楽しんでくださってほっとしました。
近々、まだ建物があるかどうか確認しに行ってこよっ。
野っ原だったら報告しますーーー! 爆

Commented by tabikuma at 2016-08-31 23:39
> kogumaさん
長野、東京からだと近くていいなー。
実はとてもとても素敵なところって、今になって気がついたの。
ずーっと知ってる気になってて、知らなかった~。

「明暗」読んでないですー。こんな感じの旅館なの?

文章のこと、そんな風に言ってもらえて嬉しいなあ。
私のおしゃべりそのまんまなのよ。
その瞬間、最高に楽しかった記憶を牛の反芻のように文字で楽しんで、
それを好きって言ってもらえてまた楽しくなれるなんてっ。ありがとう~(幸)

ほんとね、インスタってblogとまるで違うけど、その楽しさ理解したよ。
でも、文字と向かい合えるblogも改めて大切って思ったので、
更新させていただきます。これからも是非よろしくです(ぺこり)
Commented by tabikuma at 2016-08-31 23:42
> 小梅さん
そうなんです、この旅館は面白かったですー!
誰にも会わないって、やっぱりミステリアスで夏の良い思い出になりましたよー(無事だったから言えることですがw)
長野は縄文文化がお好きならなおのこと面白いところですよ。
ぜひぜひ旅してみてくださいな♪
Commented by tabikuma at 2016-08-31 23:47
>くまたろうさん、

やだーそんな私を追って長野から流れてくる、「ファインディング・ニモ」みたいなピンポン玉ーw
スリッパとか、やーめーて~(苦笑)

ああそうよそうよ、是非確認してみてー。
野っ原じゃなくても報告してーっ!(爆)


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by tabikuma | 2016-08-28 17:05 | 東日本の旅 | Comments(6)

blog「くーまくーま。」より旅だけをまとめたものです。


by tabikuma