やっと辿り着いたスペイン。

さて、覚悟を決めて出航したKUMA号がどうなったか。
読みが当たった以上に良い風に恵まれて、コンスタントに吹く6ノット~9ノットの北北東からの風で翌朝まで快調に走れたのです。

夜は徹夜覚悟が、それほど波もなく船の揺れも酷くなかったので、見張りは交代制に。
これだけの旅をしたおかげで、私も肝が据わったようです。
風はかなりあがってきていましたが、メインセイルとジブセイル(クルーザーのメインの帆と、前に付いてる帆)の調整で船のスピードをコントロールする作業が、すっかり楽しくなっていました。
自分の身体をくくり付けておかないと船から転げ落ちそうなコンディションの時以外は、もう怖いものがなくなったかも。
風見を見てはセイルの帆の角度を調整したり、速度を見ては帆の面積を広げたり狭めたりで、自分の思ったとおりのスピードになるのが楽しくて、一晩中セイルをいじってました(笑)
そして翌朝7時には、予想到着時刻を7時間巻きの順風満帆状態っ。

予定では二泊三日航海の末にスペイン領メノルカ島に到着だったのですが、このまま行くと一泊二日、本日夜9時には到着できるかもっ!
そうしたらどんなに楽だろう。
うまくいけば、晩御飯も陸で食べられたりする?今夜はゆっくり湾内で寝られる?
ほのかな期待をしてしまいます。
セイルをいじるのが楽しいとはいえ、徹夜が続くのは疲れますからね。


って、喜んでたのに。。。
人生、そう甘くはなかった。

朝7時を三十分過ぎた頃から風に力がなくなってきて、ぴたりと止んでしまったんです。
そして、海面は南から大きなうねりが入ってきました。
とても嫌な揺れ方です。
その上逆潮流で、エンジン全開にしても4ノットしかスピードがでない(涙)
青息吐息溜息・・・(がっくり)

台所で料理するのも辛いので、今日はお茶漬けばかりの食事。
日本から持ってきた麦茶のパックはもう片手の指で数えられるくらい。
お茶漬け海苔も、あと二食分しかなくなってしまいました。
当然中華三昧は当の昔に食べつくし。
もう、ほとんど日本食は残ってません。
旅も終盤って空気が漂ってます~。
あ、カップヌードルのカレー味はさすがに残ってますよ(もう見るのも嫌っ 苦笑)

GPSの示す予想到着時刻が、進んでも進んでも変わらないのが空しい(ってか、増えてってる 涙)
でも、今回が最後の長いトラベシア(横断)だから、これを乗り越えれば楽になるのです。
とにかく前に進んでいればいつかは着くのだから、淡々と行くしかないわけで。


夕方ごろ、メノルカ島の島影がうっすら見えてきました。
目指すは、巨大入り江を持つマオンです。
バレアレスで三本の指に入る、KUMA号のお気に入りの入り江なのですっ。

そうそう、この時不思議な夕景を見ました。
海に沈みかけた太陽の光が、一本だけレーザー光線のように天を貫いていたんです。
例えば、垂れ込めた雲の隙間から一条の光が差し込むように。
これは、差し込むのではなく、一条の光が天に向かってたのですけど。
どういう効果で、そんなことが起きるのかしら。
写真を一生懸命撮ったのに、ここに載せられなくて残念です。。。


そして。
当然のように太陽は沈んでしまい、気がつくと闇の中を走っていました。
今日中に着くのはすでに無理になりました。
昨日今日の波乱の風で予定時間が読めなくなっちゃってますが。
G.P.S.の表示する到着時刻は夜中の2時ですって。
なんてこったい。
こんな時間に入港することになっちゃったとは(汗)
知らない港では絶対したくないところですが、マオンはこれで三回目なので、なんとかなるとは思う・・・けどね。



改めてスペイン圏内に入ると、真っ暗の中で各港に航路灯(赤ランプは左、緑ランプは右を表すので、光の指示に従って入港することができます)が、とても見やすく大きく設置されてることに感動。
イタリアは航路灯のない港も多かったですし、ギリシャは灯台すら落書きされてたり光が弱かったりする港もあって航海しにくかったんです。
スペインは王様がヨット好きで、毎年「王様レース」なんて開催してるくらいですから(そして毎回王様が勝つ 爆)、海のルールがしっかりしてるのだわと、改めて感じました。
天候情報のサービス、シャワーとトイレの提供は当然だし、公共マリーナはとても安く停泊できるし、そのすべてがきちんと灯台と航路灯を設置しているというのは、欧州ルールではなくスペインルールだったのですね(あ、ポルトガルもしっかりしてました)。
海に関しては、とても真面目な国だったのね。ちょっと見直したぞ、スペインっ(笑)

ところで、この航路灯の色は、
日本に帰ってきて知りましたが、ヨーロッパルールと日本のルールは真逆だそうです。
ヨーロッパは赤が左、緑が右ですが、日本は赤が右、緑が左なんですんて!
どうしてそんなあべこべな話になるんでしょう??不思議なことです。


ま。
それは置いておいて。
最終的にマオンに到着したのは夜中の1時半。
メノルカ島の中でも重要な位置を占めるマオンの港は、ひときわ明るい航路灯と立派な灯台で私達を迎えてくれました。
深い深い入り江を入っていくと、街の光はまだ煌々としてました。
スペインの1時半といえば、まだみんなが騒いでる時間ですものね。
なんだか、嬉しくて熱いものが込み上げてきます。
スペインを故郷のように感じていることに、改めて気がついた私達です。

ヘッドライトを付け、G.P.S.を頼りに手探りで以前停泊しただろう場所まで行きました。
ここらへんに浮標があるはずなのです。
電気供給のある浮き桟橋につなぐと予想では50ユーロは取られるのですが、電気供給なしの浮標につなげば15ユーロ前後。
さすが8月なだけあって、混んでいて見つかりません。
静かに港内をうろうろ。
私は船首の錨に跨いで座り、ヘッドライトで海面を照らしながら浮標を探します。
二周目でようやく一つ見つけました。
船首からロープをたらし、浮標の穴に通して船をつなぎます。
エンジンを切ったのは2時でした。

お祝いに上陸して乾杯しようか。
という案も出ましたが、言葉とは裏腹に二人とも身体がもう動かない。
「船で乾杯して、寝るかぁ」

でも、そんな格好いいことが出来ないほど、もうワインもビールもジュースすら残ってなくて、がっかり。
ほんとに、もう旅の終わりなんですよね(苦笑)
ああ、でもシャンパンくらい用意しとけばよかったなぁ(ドラマチックな瞬間なのに とほほ)

結局、うすーく淹れたコーヒーで乾杯。
ま、いいか。
コーヒーの国だもんね。


やっとやっと帰ってこれました。
2年前と今年で5ヶ月かけた道のりを、1ヶ月で戻ってきた帰り道。
さすがにハードであった。
でも、もうスペインにいるのですよね(感涙)
今夜はいい夢見られそう(って、いつもいい夢見てるんですけどね 爆)

おやすみなさい~。



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by tabikuma | 2009-12-14 01:09 | 09年 船旅(最後のクルーズ)

blog「くーまくーま。」より旅だけをまとめたものです。


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